「予実管理」というワードを聞くと、皆さんの印象はこんな感じでしょうか?(笑)
毎月の期日が明確で大変かつ面倒くさいもの。
経営陣から詰め寄られるもの。
経営企画とかの管理部門からいちいちせっつかれるもの。
うん、ボクもそんな風に思ってた時もありました(笑)
なので、今日は「あんなに苦労してまで、なぜ予実管理をするのか」という疑問にお答えしてみたいと思います。
結論:リソースに限りがあるから
いきなり結論を申し上げると、会社のリソースには限りがあるからです。
具体的にリソースとは、ヒトやモノ、お金、情報、時間、などを指します。
これらが無限に存在しているのであれば、やれること全部一気にやっちゃえば良い。
でも、そんなことは絶対にありえません。
あったら最高なんですけどね(笑)。特にお金とか
限りがある。だからこそ「選択と集中」
無限に人もいない、お金もない、時間もない。”ないない”づくしだからと言ってめげてる場合じゃありません。まぁ、ボクもそんな偉そうに言えたもんじゃありませんが(笑)
みんな同じ条件でビジネスと向き合っています。
そこで、何が鍵になるか。それは選択と集中です。
限りのあるお金や人、時間を何に投資するのか。はたまた、何のために費やすのか。
それを見極めることが、とても大切になります。いや、というかそれがビジネスの一つの側面なのかなとも思います。つまり、一番意味のあるところや効果が最大化されることを見極め、そこへこれらの有限なリソースを注ぎ込む必要があるのです。
「予実管理」の出番
その見極めこそが、このブログのテーマである「予実管理」です。
先日、こちらのブログでは、『苦しい思いをしてまで予算作成をするのは、自分たちなりの「成功」を定義するため』と書きました。
なぜ、一定規模以上の組織・会社にとって、予算はあった方が良いのか。
結論をいうと、自分たちなりの「成功」を定義するためです。
ご存じの通り、ビジネスでは絶対的な正解や答えはありません。
そして、もちろんのこと、誰もそれらを教えてはくれません。
なので、「自分たちはこうなれれば良しとする」という成功の定義付けが必要となります。
参照:上記ブログより抜粋
その、自分たちなりの成功と定義した「予算」と、実際に自分たちの活動の結果である「実績」を比較する。そして、差分が大きいところを見極め、何にリソースを優先的に投下するかを見極める。
それが予実管理の一つの大きな目的なのです。
受験勉強の場合
高校受験へ向けて勉強していた時、ボクはこんな風に先生からいつも言われていました。
あなたは国語の偏差値が低い。だから、別途課題を出すから一緒に頑張ろう。でも、英語のそれはいつも高い。もっと伸ばすために、Readingを強化しましょう。
出典:筆者の記憶から(てか、マジで国語は苦手でした…笑)
塾ではこのように、偏差値という明確な数値目標があったので、それとの差分は科目ごとに明確に表れていました。その差分が見えるからこそ、苦手な国語を克服すること、得意な英語をさらに伸ばすこと、に注力できたのです。にしても、国語は大っ嫌いでしたw。
ビジネスの場合
さて、ビジネスの場合を見てみましょう。
こちらは売上の予実推移です。
グレーが予算で、黄色が実績値です。
そして棒グラフが単月で、線グラフが累積を表しています。
まずは売り上げを見る
これを見ると、最初の三か月は予算未達(棒グラフを参照)で推移しています。
ですが、4月に単月予算を達成し(棒グラフを参照)、6月には累積でも予算を超える推移(線グラフを参照)を示しています。
次に売り上げを分解する
売り上げの推移が把握出来たら、次にその内訳を見ます。
分かりやすくするため、客数だけ取り出したグラフを用意しました。
これを見ると1~3月は予算未達、そして4月以降に盛り返していることが分かります。
※本当は客単価の推移も見たいところですが、端折ります。
もういっちょ掘り下げる
「ふむふむ、客数が伸びたからなのね」
で、終わらせずもう一個踏み込みます。
そこで、なぜ客数が増えたのかを掘り下げます。
(本当はここで色んな数字を見たり、仮説を立てたりするのですが、ここも端折らせていただいて….)
顧客獲得コストの推移を見てみます。
(広告宣伝費は一定という前提)すると、一顧客あたりの獲得コストが、予算10に対して当初超過していたものの、予算を下回る水準まで徐々に下がってきたことが分かってきます。
この広告効果の改善によって、客数を増やすことができ、売上予算を累積で達成できていることが見えてくるわけです。
実務上は、ここからさらに、広告効果の改善はどうもたらされたのかを深掘っていく必要はあります。クリエイティブの質が向上したのか、広告出稿の媒体を変えたのか、それともSEOが効いてきたのか、、、などあるかと思いますが、キリがないので、ここで止めておきます。
これも予算があるから見えるもの
このように予算を設定しておくことで、
3月の時点で客数が足りない理由は何だろう
6月までの累積予算超過の要因はどこにあるのか
というように、疑問や注目ポイントが目に入りやすくなるのも、予算という自らの成功を予め定義したからこそ言えるのではないでしょうか。
もちろん、予算という形で数値化しなくても気づける人はいると思いますし、過去の経験から問題点の勘所をすぐに見つけられる経営者もたくさんいると思います。
ただ、このように予算にしておくことで、経営者の頭の中だけでなく、チーム全体にも意識させることができます。こちらのブログ(あんなに苦労してまで、なぜ予算を作るのか)でも記しましたが、コミュニケーションコストが下がるんです。
”今年の予算”と言えば、全員が同じ数字や目標を思い浮かべます。
出典: あんなに苦労してまで、なぜ予算を作るのか
(中略)
もし仮に、足元の状況がルートから外れていれば、部署単位のみならず、社員一人が自分自身のやるべきことを見直すきっかけになります。
まとめ:
長々と書いてしまいましたが、予実管理を行う意味や目的、効果を少し感じていただけましたでしょうか。
ブログのタイトルにも書きましたが、確かに予実管理って辛いんです(笑)
こやつ(ボクの息子)が横にいると、予実管理にかかわる業務は到底できる気が一切しません爆。
そして、経営者の方が一人でやろうとすると、それなりに重たい作業にはなります。
予実管理は、ある程度システム化・仕組化することはできます。
しかし、完全自動化するまでの道のりは半端なく長いです。その土台として社内の各種データを一か所に集約する必要があります。
一方で、管理会計のSaaSはたくさん出てきていますし、これからさらにサービスも改善され、浸透していくことと思います。
それでも、なお、少し今は苦労してでも予算を作り予実管理をする意味はあるんじゃないか、と感じています。やっぱりそれは、限りあるリソースを効果的に使い「選択と集中」に取り組めるからです。
もし、次のような方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にお声がけくださいね!
- 「予実管理を始めてみようかな」
- 「そろそろ自分一人では把握しきれなくなってきた」
ご参考までに、「あんなに苦労してまで、なぜ予算を作るのか 」というブログも改めて張り付けておきますね!ではでは~!
追伸:「あんなに苦労してまで、なぜ〇〇するのか」をシリーズ化できそう(笑)
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