10月半ばの台風19号の時、東京都内を流れる目黒川に調節池が二つも存在していたことを知りました(その時のブログがこちら:目黒川には調整池があった。とても助けられている。 )。そんな話を会社でしたところ、ファンドからの出向者の方に「首都圏外郭放水路」という規格外の治水工事について教わったので、調べてみました。今回は、その「首都圏外郭放水路 (しゅとけんがいかくほうすいろ」について、簡単にご紹介します。こういう時に、自然災害から街を守るために国や自治体が素晴らしいインフラを整えてくれているんだなと実感します。いや、こんなのを地下に作ってるとか、すげえっす。
二子玉川で堤防建設に関する議論があった
先日の台風で全国でたくさんの川が氾濫しました。都内だと多摩川が氾濫し二子玉川の一部が洪水に見舞われましたし、川崎市武蔵小杉では、多摩川の氾濫の影響はなかったものの、増水した川の水が排水管から逆流し、街が水で覆われてしまいました。タワーマンションでも停電が起き、水を上層階へ上げるポンプが動かず、トイレもできない事態になり、相当大変だったようです(今では無事回復しているといいのですが…)。
多摩川がある二子玉川では、「堤防を建設するしない」の議論が以前からずっとあったようですね。極論を言うと、日々の景観を取るか、起きるか起きないか分からない水害のために安全を取るか、という話なのだと思いますが、こればかりはなかなか答えが出なかったんだと思います。保険のように、事故が起きなければ「ほらやっぱり要らないじゃん」と思ってしまうでしょうし、保険未加入で事故が起きたら「ほらやっぱり保険って入ったほうが良かったんだよ」みたいな話なのかなと考えられます。
そんな私は目黒川沿いに住んでいるのですが、目黒川には調整池があり、そのおかげか大きな被害もなく結果的には無事台風を乗り切りました。しかし、やはり、台風が過ぎ去るまでは、停電と断水は心配でした。自宅マンションのトイレはタンクレス式で、電気がないと流せないこともあり、夜寝る前にバケツに水を貯めて、トイレにおいておきました(トイレに用を足したあと、そのバケツの水をトイレに流せば、なんとか流せるため)。詳しくはこちらのブログをご覧ください▼
首都圏外郭放水路
ということでやっと本題です。そうブログのタイトルにもある「首都圏外郭放水路」が何かというと、「中小規模の河川が溢れたら、その水を地下に取り込み、江戸川に流し込む世界最大級の地下放水路のこと」です。この記事を読むと分かるのですが、中川・綾瀬川流域では河川に囲まれみ、水が溜まりやすい地形かつ水位も下がりにくい地形になっていることから、、昔から洪水などの水害が絶えなかったそうです。
そこで建設されたのが、ここで紹介する「首都圏外郭放水路」。中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となった際に、その水の一部をゆとりのある江戸川へと流すことができます。この放水路の完成によって、周辺地域の完成によって、周辺地域で浸水する家屋の個数や面積は大幅に減り、洪水になやまされてきた流域の被害を大きく軽減できたとのこと、今回の台風でも流域での大きな被害の報告はなかったはずです。そして、このような事態になって初めて、この類の工事・税金の使い方に対して感謝ができるようになるのかなと思います。
その放水路の仕組みは?
細かい話・説明は省きますが、この二つの図をご覧ください(江戸川河川事務所HPから抜粋)
この図をご覧いただくのが早いですが、ある一定以上の推移となれば各川から貯水ができる立抗へ水が入り込み、全長6.3kmあるトンネルにどんどん水が流れ込みます。そこで水が入りきらなくならば、立抗でも水を抱え始め、最後の最後は江戸川にその貯まった水を流していくようなイメージです。この立抗は超巨大でスペースシャトルが入る規模であると聞いていますが、こんなものが地下にあると考えただけで感心してしまいます。そして、今回大きな水害が発生しなかったことで、都民としては、国・自治体の皆さんに本当に感謝したいところです。
放水路見学ツアーもあるらしい
へぇーー!外郭放水路なんてあるんだー!思った方! 朗報です。この放水路と関連施設への見学ツアーがあるらしい!マニアックな皆さん、ぜひご参加くださいね。そして、なんとハンガリーの大統領までもこの地に足を運び、視察いただいてるようです。嬉しい限りですね。https://www.gaikaku.jp/course
ハンガリーのアーデル大統領は埼玉県春日部の #首都圏外郭放水路 を見学されました。大統領は水道事業や治水に関心があり、先の台風19号の際にはこの放水路が水位の上がった河川の水を次々と溜めていき、計1千万tを川幅の広い江戸川に排出して洪水被害を食い止めたことに強い関心をお持ちでした。 pic.twitter.com/vtFAFQLdsl
— パラノビチ・ノルバート 駐日ハンガリー大使 (@HUNBASSADOR) October 28, 2019
自宅近くの河川の治水工事を調べてみては?
というわけで、いかがでしたでしょうか。そもそもこのような治水工事がされているなんて知らなかったですし、地下奥深く、または距離も長くにあれほど巨大なトンネルやを流し込めるなんて、ただただ驚きです。私は偶然にも台風の影響で目黒川のことを調べてみたりしましたが、皆さんそれぞれの場所、地域の河川がどのような治水工事に対応済みかぜひ調べてみると都市部ほど大掛かりな対策が練られているかもしれません。
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